いま、世界の美食家たちを魅了する日本酒の魅力とは ~海外トップソムリエたちが来日し「世界から見た日本酒」の魅力を語る~

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各国の日本酒市場の現状や今後の可能性について熱い議論を展開

海外トップソムリエたちが来日し、トークセッションおよび酒蔵関係者を集めた交流会を開催

ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」に関わる日本酒業界最大の団体である日本酒造組合中央会(以下、中央会)では、国内外に向けた日本酒および日本酒文化の魅力発信に取り組んでおり、フランスソムリエ協会や国際ソムリエ協会と提携し世界中に日本酒を広めています。このたび各国のソムリエ協会代表やソムリエコンクールの優勝・受賞歴を持つトップソムリエ5名を招聘し、11月17日(月)から21日(金)の5日間、宮城・秋田の蔵元を訪問するツアーを実施しました。

さらに11月22日(土)には、本ツアーの一環として、報道関係者向けのトークセッションおよび酒蔵関係者を集めた交流会を開催しました。会場には多数の報道関係者や酒造関係者が訪れ、活気ある雰囲気の中で意見交換が行われました。

■日本の酒蔵や研究施設を巡る「海外インフルエンサー清酒招聘ツアー」

本年のツアーでは、宮城県と秋田県の酒蔵をはじめ、日本文化や発酵技術に関連する11の施設を、11月17日(月)~21日(金)の5日間にわたり訪問。試飲はもちろん、日本の食文化・自然環境・酒造りの現場など多面的な体験を通じて、日本酒の魅力や可能性を深掘りいただきました。

宮城県と秋田県の酒蔵を訪問し酒造りについて実際に体験しながら理解を深める
麹づくりの工程を学ぶ
酒米をつくる田んぼや日本酒造りを支える自然環境について学ぶ

酒蔵訪問では、米を蒸す「蒸米」、麹をつくる「製麹」、酵母を育てる「酒母」、酒と酒粕を分離する「上槽」など、一連の製造工程を見学。地域の環境を活かしながら、多くの職人と微生物の働きによって生まれる日本酒の奥深いプロセスを学んでいただきました。また、最新技術を取り入れた酒蔵も訪問し、日本酒造りの多様性や麹や酵母の研究開発の現場にも触れていただきました。さらに、神社参拝、漆箸づくり体験、醤油の発酵工程見学など、日本酒を取り巻く伝統文化の豊かさにも触れ、理解を深めていただきました。

参加ソムリエからは、「先端技術を取り入れる酒蔵から伝統製法を守る酒蔵まで幅広く、非常に学びが多かった」といった声が上がり、日本酒醸造の全てのプロセス自体が魅力であるとのコメントが寄せられました。

■熱気あふれるトークセッション

トークセッションでは、海外の高級レストランの現場で日本酒を扱うソムリエたちから、生の声が寄せられ、各国の日本酒市場の現状や今後の可能性について熱い議論が展開されました。

各国の日本酒市場の現状や今後の可能性について熱い議論が展開
トークセッション

■各登壇者のコメント

Andrew Truong(ベトナム)

「この機会を通じ日本酒だけでなく日本の文化についても理解を深めることができた。様々な蔵を訪問し、伝統的な技術や考えだけでなく、近代的な技術やアプローチが混ざりあい共存している事が印象に残った。ベトナムの日本酒マーケットはまだ新しい市場なのでまずは日本酒に関する情報を広げていくことが大事。レストランに来るお客様に対する説明の仕方や積極的に提案していくことで広がっていくと考える。良い情報と商品を届けていければベトナムにおける日本酒市場は明るい。」

◆Louis Le Conte(フランス)

「出身はフランスで、スイスで働いている。両国の日本酒市場は非常に似ている。近年、ソムリエたちの中でも日本酒に関する話題が良く上がっている。特にミシュラン星付きのファインダイニングでは日本酒が既に浸透してきている。今回のツアーで、日本酒の多様性とストーリーという2点に大きな魅力を発見した。ソムリエという職業柄、料理とのペアリングのため、お酒に多様性があるという事は非常に重要なポイント。アロマティックな香りが高い大吟醸や、熟成酒や、純米酒、awa酒など多様な味がある事に驚いている。また、お客様にそのお酒の背景にある(造り手や環境などの)ストーリーを伝えることもソムリエの大きな役割である。日本酒はファミリービジネスも多く、(造り手たちに)様々なストーリーがある。ヨーロッパにおける日本酒の未来は非常に明るいと考えている。」

◆Dawid Sojka(ポーランド)

「多くの酒蔵を訪問したが、どの蔵も個性がつよく、独自性がある。ユニークさが印象に残った。ここまでオリジナリティに富んでいるとは想像もしていなかった。商品のスタイルが定まっている蔵や、最新の精米機を設置しているなどもとても印象に残った。さらに今回のツアーでは酵母と麹についての専門的な講義を受けられた事や、専門的な施設、科学者との交流が出来た事が非常に有意義。海外にいては絶対できなかった経験が出来た。ポーランドはまだまだ日本酒については歴史が浅い市場だが、日本酒についてはとても良い印象を持っている。この経験を基にさらにポーランドでより日本酒の存在感や認知度を高めたい。」

◆Gabriel Lucas(スペイン)

「若い層などいま日本酒に触れていない方たちへどう日本酒を届けていくか、ともに考え意見交換できたのが良かった。スペインやヨーロッパでは日本酒はかなり成熟した市場になってきており、ファインダイニングや高級レストランでは日本酒は既に浸透していると思う。ただし、純米大吟醸やプレミアム路線のものが先行しており、個人的には今後ミドルマーケット(=一般的なレストランや居酒屋など)のよりカジュアルな層)へも手に取ってもらえるよう広げていきたい。蒸留酒に比べて低アルコールであることや、普段ワインを飲んでいる層への訴求などが今後チャンスがあると思う。帰国後は、業界リーダー等プロフェッショナルだけでなく、若いソムリエやお客様へ向けた初心者向けのレッスンやテイスティングにも取り組みたいと考えている。」

◆Julio Cesar Kunz(ブラジル)

「ブラジルのプレミアムアルコール飲料市場は現在とても伸びており南半球における最大の市場。長年、高級志向の消費者間では、歴史的な美しさやクラフトマンシップを持つワインが関心の中心だった。このような市場で現在より上質なものを求めるニーズが生まれている。個人的には、日本酒は、ワインの代替品ではなく、日本酒そのものの世界観を提供できるものであり、ワインの次にくるクラフト飲料は日本酒だと考えている。また、日系の移民コミュニティがあり日本食レストランなども多く、レストランの視点から見ても、日本酒は(エレガントな飲み物でピュアな味わいがあり、高い技術によりつくられている事から)マッチした飲み物だと思っている。今後の課題としては、ブラジルではまだよく知られていないため、今後もっと理解し知ってもらう為のアクションが必要。日本酒はワインに比べより独自の個性を持っていることから、個性を活かし日本酒の存在をより高めていく事が出来ると考える。日本酒は、日本の文化であり、財産だと考えている。私はイタリアにルーツがありブラジルとイタリアの市場へパッションを届けていきたい。」

■「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録の影響について

「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことによる影響については、

「プロフェッショナルへの訴求として非常に強い」「ワイン業界における文化財的価値と同様、差別化につながる」

「一般消費者への訴求力が高まり、クラフト飲料市場でもより強い存在感を持つ」

など、海外市場においても大いにプラスであるとの意見が寄せられました。

■世界の一流ソムリエが認める日本酒の優れたペアリング性能

登壇ソムリエからは、和食以外の料理とのペアリング可能性について、以下のようなコメントも上がりました。

・日本酒はシーフードやフュージョン料理との相性が非常に高い。

・蒸したスズキとシャンパンバターソースにキャビアをあしらったフレンチに、純米大吟醸が完璧にマッチする。

・大吟醸とクリーミーなチーズは極めて相性が良い。

・ミルフィーユなどのデザートには、濁り酒が合う。

レストランの現場でゲストへ直接ペアリング提案を行うソムリエの意見は、日本酒の国際展開にとって極めて貴重な示唆となりました。

■試飲・交流セッション

セッション後には、日本酒15銘柄ほどの試飲会を実施。

ソムリエと蔵元が直接対話し、海外マーケットの状況や酒質の評価について活発に意見を交わしました。

参加者からは

「海外の現場での評価を直接聞けたのは非常に貴重」

「ソムリエの表現技術は、日本酒の魅力を伝える上で学ぶ点が多い」

などの声が寄せられ、これから最盛期を迎える日本酒造りの新たな視点を得る機会となりました。

ソムリエ達と蔵元が意見交換しながら直接交流
様々な香りや味の日本酒をテイスティング

■「日本の酒情報館」で日本の伝統文化に触れる

イベント後は、同ビル内の「日本の酒情報館」で開催されていた益子焼の展示イベント「ほっと酒呑む酔い器展 by古風路」にも訪れ、日本の伝統技術が生み出す酒器に触れるなど、日本酒文化への理解をさらに深めていました

日本の伝統技術が生み出す酒器に触れ日本酒文化への理解を深めた
益子焼の展示イベント「ほっと酒呑む酔い器展 by古風路」

■いま、世界の美食家たちを魅了する日本酒の魅力

ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」を背景に注目が高まる日本酒は、いま世界のファインダイニングを中心に存在感を急速に高めています。欧州・北米のミシュラン星付きレストランやモダンアジアンなどで日本酒を常設する店が増え、“食中酒の新たな選択肢”として確固たる地位を築きつつあります。

繊細な香味、アミノ酸由来の旨味、料理との高い親和性が評価され、シェフやソムリエからは「ペアリングの幅を広げる革新的な酒」との声も。登壇ソムリエたちも「ファインダイニングの現場ではすでに日本酒が受け入れられている」と語り、日本酒の国際的価値の高まりが明確に示されました。

トップソムリエたちが「自国へ戻ったら日本酒をさらに広めたい」と語る姿は、日本酒の未来への力強い兆しです。中央会では今後も海外市場の開拓と、日本酒文化の普及に向けた取り組みを強化してまいります。

<参考資料>

『海外トップソムリエが語る「世界から見た日本酒」メディアイベント』概要

日時:2025年11月22日(土) 14:00~16:00

会場:日本酒造組合中央会 3階会議室(東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル3F)

登壇者:海外ソムリエ5名

Dawid Sojka(ポーランド/酒類プロモーション会社経営)

Julio Cesar Kunz(ブラジル/ブラジルソムリエ協会 副会長)

Gabriel Lucas(スペイン/ワイン輸入会社ディレクター)

Andrew Truong(ベトナム/ベトナムソムリエ協会 副会長アシスタント)

Louis Le Conte(フランス/最優秀ヤングソムリエコンテスト優勝)

*詳細は別紙参照

内容:

1. 各国の日本酒市場・トレンド

2. 訪問先の印象

3. ソムリエによる日本酒の魅力・可能性についてのトーク

4. 日本酒10〜15種類の試飲付き交流セッション

「海外インフルエンサー清酒招聘ツアー」実施スケジュール

【宮城県】

・11月17日(月) 訪問先:佐浦、塩竃神社

・11月18日(火) 訪問先:寒梅酒造、熊野洞

【秋田県】

・11月19日(水) 訪問先:秋田県食品研究センター、秋田酒類製造、小玉醸造

・11月20日(木) 訪問先:齋彌酒造店、天寿酒造

・11月21日(金) 訪問先:出羽鶴酒造、秋田今野商店

【東京】

・11月22日(土) 『海外トップソムリエが語る「世界から見た日本酒」メディアイベント』

<日本酒造組合中央会について>

全国約1,600の日本の伝統ある酒類(日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん)メーカーが所属する日本酒業界最大の団体。酒類業界の安定と健全な発展を目的とし、1953年に設立。ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」により生み出される「國酒(こくしゅ)」である日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん等について魅力を広めることにより、世界の食文化の多様性に貢献し、国内外の需要拡大につなげる活動に取り組んでいます。

■公式HP: https://japansake.or.jp/sake/

<「清酒」と「日本酒」 呼称の違いについて>

「清酒」(Sake)とは、海外産も含め、米、米こうじ及び水を主な原料として発酵させてこしたものを広く言います。「清酒」のうち、 「日本酒」(Nihonshu / Japanese Sake)とは、原料の米に日本産米を用い、日本国内で醸造したもののみを言い、こうした「日本酒」という呼称は地理的表示(GI)として指定・保護されています。

※海外産米を用い、又は海外で醸造した「清酒」、「SAKE」のことを「日本酒」と表記することは誤りとなります。

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