2022年度の日本酒の輸出実績は13年連続で過去最高となり、72の国と地域に出荷され、輸出総額として約475億円に達しました。
日本酒造組合中央会では、パートナーシップを締結する国際ソムリエ協会主催の世界最高峰のトップソムリエを競う『A.S.I. 世界最優秀ソムリエコンクール フランス パリ大会』のマスタークラスで日本酒の魅力をプレゼンテーション!
日本酒造組合中央会(Japan Sake and Shochu Makers Association(略称:JSS・以下、中央会)では、パートナーシップを締結する国際ソムリエ協会(Association de la Sommellerie International:以下 ASI)が主催する『A.S.I. 世界最優秀ソムリエコンクール フランス パリ大会』(開催期間:2023年2月7日(火)~12日(日))にパートナーとして参加し、コンクールに合わせて行われたマスタークラスにおいてトップソムリエたちに日本酒の魅力をプレゼンテーションしました。
2022年度の日本酒の輸出実績は13年連続で過去最高となり、72の国と地域に出荷され、輸出総額として約475億円に達しました。地域別では、アジアが全体の約65%、北米が約25%と全体の約90%を占めています。日本酒業界では、香りや味、アルコール度数などが似ているワイン業界に学びつつ、独自のノウハウを蓄積しながら輸出を拡大してきました。しかし、ヨーロッパ諸国への日本酒の輸出は、輸出総額のわずか6%であり、ヨーロッパへの輸出拡大が課題となっています。
アルコール飲料市場調査のIWSRによると、2021年の世界のワイン消費国上位10ヶ国のうち5ヶ国がヨーロッパであり、そのうち上位3ヶ国 (イギリス・フランス・イタリア) だけで世界のワイン消費全体の約30%を占めています。日本酒とワインの消費量の違いを同様に論じることはできませんが、ヨーロッパ市場において、日本酒の認知度を高めて、理解深耕を図っていくことが業界としての大きなテーマとなっています。
ヨーロッパでの日本酒の正しい認知形成や消費の拡大を阻んでいる大きな原因の一つに、日本酒が蒸留酒であるという誤解があるとされています。この誤解は、ヨーロッパの一部の飲食店「Sake」という名前で蒸留酒提供していたことに起因しています。2021年1月に国税庁が実施した調査では、1,000名のフランスのアルコールユーザーの80%が日本酒を認知しているものの1/3以上がアルコール度数30%以上と回答しており、ほぼ1/4が日本酒を蒸留酒と誤解しているという結果が浮き彫りになりました。
中央会は、日本酒が米から造られた長い歴史を持つ洗練されたお酒であり、ワインのように料理とのペアリングが楽しめることを世界に認知してもらうために、ソムリエを通じ、正しい理解を広めていくことを推進しております。
中央会では、2020年にフランスソムリエ協会とパートナーシップを結び、定期的にソムリエに日本酒の情報提供を開始。そして2022年には、ASI とのパートナーシップを締結。2022年9月にマレーシア・クアラルンプールで開催された若手ソムリエ向け教育プログラム「ASI Bootcamp in Malaysia」にも参加し、次世代のソムリエ達に日本酒の魅力をアピールしました。
今回は、2023年2月7日(火)から12日(日)に開催された「第17回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール パリ大会」に初めて参加しました。この世界大会は3年に1度行われ、ASI傘下の66か国のソムリエ協会から各国を代表する約70名が競技者として集合しました。
大会期間中に行われるマスタークラスは、これらの世界中から集まったトップソムリエはもちろんのこと、世界中からソムリエやレストラン関係者がオンラインで視聴することができるため、正しい日本酒の理解を深めてもらうために非常に有効な機会であります。中央会では、2月11日にマスタークラスを主催し、ルーマニア出身のソムリエで著名なエデュケーターであるジュリア・スカヴォさんによる『日本酒における酸味の歴史』と題する講演を実施しました。
このマスタークラスで、スカヴォさんは、「総酸度がワインの1/5しかない日本酒は、製造工程でのより高い清潔さと流通での取り扱いに細心の配慮が必要である」と述べました。 また、菩提酛、生酛、山廃酛、速醸酛など4つの異なる酒母を紹介し、4種類の酒母を使った5銘柄の日本酒の試飲を行いました。
製造過程で品質劣化を防ぐ醸造方法をどのように編み出し発展させてきたかという日本酒の歴史についてもレクチャーしました。
また、日本酒はワインの5倍のうま味を持っていることにも言及し、そのためチーズとの相性が良く、燗酒はさらに興味深いペアリングをもたらすという話があり、参加したソムリエたちも真剣に聞き入っていました。
マスタークラスに出席した中央会理事の宇都宮 仁は、「参加した200人を超える世界中のトップソムリエから、真剣に日本酒の知識を得たいという思いが感じられ、日本酒はますます世界に広がっていくことを確信した。彼らの期待にこらえる優れた品質の日本酒を届けたい」とコメントしました。
今回の『A.S.I. 世界最優秀ソムリエコンクール フランス パリ大会』で世界最優秀ソムリエの栄冠に輝いたラトビア出身のソムリエ、ライモンズ・トムソンさんは、中央会とも以前から交流があり、日本酒への造詣が深く、かねてより日本酒のエデュケーションにも積極的に取り組んでいます。世界最優秀ソムリエとなったトムソンさんが、今後も日本酒の魅力を発信する存在であり続けることに、日本酒業界からも大きな期待が寄せられています。
この大会中に日本酒に関する出題もあり、ワイン業界では、日本酒の知識習得を急ぐソムリエが後を絶ちません。2022年のヨーロッパへの日本酒の輸出は、コロナ以前の2019年の1.8倍近く伸びており、フランスでもほぼ同様の割合で堅調に推移しています。
今後、中央会、フランスソムリエ協会、ASI のパートナーシップは、欧州マーケットにおける日本酒の正しい認識を広めるだけでなく、世界のガストロノミーに日本酒の魅力を伝える上で極めて重要な架け橋となることでしょう。
マスタークラス動画(Youtube)はこちらでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=n4N9RWrEsS4
<実施概要>
タイトル:「第17回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール パリ大会」
日程:2023年2月7日(火)~12日(日)
会場:パリ・ラ・デファンス・アリーナ
主催:国際ソムリエ協会
※写真をご使用の場合はⒸASI&HRVPRODのクレジットを入れていただきます様お願い申し上げます。
■日本酒造組合中央会
全国1,661社の酒類(日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん)メーカーが所属する日本酒業界最大の団体。酒類業界の安定と健全な発展を目的とし、1953年に設立。「國酒(こくしゅ)」とされる日本酒、本格焼酎・泡盛について情報発信することで、国内外へ幅広く認知向上させる活動に取り組んでいる。
https://www.japansake.or.jp/
■国際ソムリエ協会(Association de la Sommellerie International(ASI))
1969年ランス(フランス)で設立された非営利団体で世界60カ国ソムリエ協会(及び3カ国ソムリエ協会のオブザーブメンバー)で構成される。各国のソムリエ協会の設立を促進しソムリエの技術や職位向上に取り組んでいる。
https://www.asi.info/about/